建設労働者の春闘


全国から集まった建設労働者 「2・10大集会」=2月10日、日比谷野音

公共工事の見積もりに使われる「公共工事設計労務単価」が今年も引き上げられました。大幅引き上げとなった2012年度から34.7%の上昇ですが、それが現場には届いていません。賃金は他産業と比べて低く、このままでは後継者を確保できません。

 全建総連東京都連の統計では、東京・大工(常用労働者)の一日あたりの設計労務単価は11年度から15年度まで6800円上昇した一方、賃金は459円しか増えていません。単価と実際の賃金の差は年々広がっています。
 同都連組合員の平均年収は425万円。都内で働く男性一般労働者の平均678万円と比べるとかなり低水準となっています。

 政府は昨年4月、ダンピング防止や、建設工事の担い手育成などを定めた「担い手三法」を施行。大手ゼネコンなどでつくる日本建設業連合会(日建連)も昨年、若年労働者90万人の確保をめざし、就労環境の改善を図る「長期ビジョン」を策定していますが、効果を得られていないのが現状です。

 何層もの下請けを通じてなされる利益のさや抜きに加え、社会保険料を負担しきれない事業者が労働者を外注化するケースも後を絶ちません。事業者がまともな賃金を払い、社会保険に加入できるだけの「適正な利益」を確保する仕組みが必要です。そのためにも公契約法や公契約条例の制定が急がれます。
 2月10日には、首都圏の建設関連の労組が都内で、賃金、単価の引き上げ
を求める集会を開き、3100人が「後継者が育つ産業に」と訴えました。国や、史上最高益を更新する大手ゼネコン、住宅メーカーに大幅賃上げを求めていきます。

旭瀬谷支部報 第293号掲載 平成28年3月1日発行