国と建材メーカーの責任を認める判決

1月29日京都地裁は、建設アスベスト被害者に対し、国と建材メーカーの責任を認める判決を言い渡しました。国の責任を認めたのは東京、福岡、大阪に続く4度目。建材メーカーの責任が初めて認められる歴史的な判決となりました。
 京都判決は、国の責任について、吹き付け作業者に対しては昭和47年10月1日以降、屋内建設作業者には昭和49年1月以降、屋外建設作業についても平成14年1月1日以降、マスクの着用や集塵機付き電動工具の使用、さらにメーカーに警告表示義務を課すことを怠ったと違法性を認め、これまでの判決より救済の範囲を広げました。一人親方・中小事業主は除外されましたが、立法で解決されるべき課題と指摘しています。
 さらに、主要なアスベスト建材企業であるエーアンドエーマテリアルやニチアス、ノザワなど9社について、警告表示をせず危険なアスベスト建材を市場に流通させた責任を断罪し、共同不法行為責任を認めました。
 裁判所がアスベスト被害に正面から向き合い、建材メーカーが危険性を知りながら自らの利益のために安全であるかのようにアピールして製造販売した企業の加害責任を認めた点、さらにどの建材から曝露したかをすべて立証することが不可能な建設現場の実態を直視し主要な建材メーカーの共同の責任を認めた点で、優れた判決です。
 本判決で、すべての建設アスベスト被害者への補償の枠組みは示されました。これを契機に政治解決をの声を大きく上げていきましょう。

賠償が認められた建材メーカー9社
ニチアス、エーアンドエーマテリアル、太平洋セメント、ケイミュー、新日鉄住金科学、日東紡、ノザワ、大建工業、三菱マテリアル建材

旭瀬谷支部報 第292号掲載 平成28年2月1日発行